嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第72話: 上海裏事情その2

GPのすぐ近くにあるクラブ818

このブログもプロローグの話題(シャンパンタワー)に戻り、そろそろ終わりが見えて来た。あと少し(数話)お付き合い頂きたい。(裏の裏ブログはまだ続けていきます。)

前話登場のカラオケクラブGPだが、鳥薗君もお気に入りの娘がいて(何と非番でも鳥薗君が呼ぶと私服で駆けつけるという仲だった)、他の駐在員や恭作もお気に入りだった。駐在員の松上君が初めてGPで指名した娘と結婚したのはあまりに有名だが、恭作も何回か行くうちに好みの娘が出来て毎回指名していた。確か彼女の番号は237番だった。

天津とは違い店側は店外の事にタッチしないし、上海は結構当局の規制や監視が厳しいと聞いていたので出張者は普通に日本のクラブと同様に楽しく飲むだけだと思っていた。駐在員ならそのまま恋愛に発展する松上君のパターンもあるのだが(そう言えば今も自動車事業部の中に松上君以外2人も上海の娘と結婚した元駐在員がいる。2人ともその時は妻帯者で離婚までした)、たまに来る恭作の様な出張者には無縁の事だと思っていた。ホステス側からも(少なくともこの237番の娘は)誘ってくる様な素振りは一回も無かった。

ところが何回も指名しているうちに情が湧いてしまい且つ何かお互い盛り上がって来たように感じたのでダメ元で店外デートを誘ってみたらすんなりとOKをもらい・・・❤️

それから何回かプライベートで会ったりしたが(天津の時の様な時間差移動作戦で:第69話参照)、その後彼女は体を壊して田舎(貴州)に帰ってしまった。Wechatがつながっていた数年前までは貴州で元気にしているのを確認出来たが現在は???

237番がいなくなってしまった後はその近くの818というクラブに行く様になった。そこでお気に入りになって指名した娘を知って上海に田舎から出て来る美人さんの本音が明らかになった。その娘は明らかに金目当てで、しかも同局の監視が厳しくなって来たのでなるべく日本でのデートで荒稼ぎしたいというパターンだった。松上君の様なパターンは彼女達にとって’上海ドリーム’で理想形だが、需要の問題なのだろうか駐在員狙いでなく出張者狙いに変わってきたのかもしれない。この頃は数千元出せばパスポートが取れたらしくその娘もパスポートを持っていた。一度いきなり埼玉で仕事中の夕方に彼女から電話がかかって来て「今横浜にいるの。今日会えない?」だった。恐らくは何処かの日本人が彼女を呼んで会っていたんだろうが、日程が余ってもう一稼ぎしようとでも思ったんだろう。当然どこでもドアでもない限り物理的に横浜までは行けなかったので断ったが、少なくとも往復航空券と宿泊費と「お小遣い」はその日本人からもらっている筈だ。恭作は上海市内でたかられた程度で済んで良かったと思い、その後818は行っていない。また、237番はそれに比べれば良い娘だったんだなあとつくづく思った。