嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第2話:新入社員はつらいよ(2)

恭作が入社直前に購入した初代シャレード

 

嶋恭作が入社してから1年間は山王工場に隣接した寮に入らないで、クルマで1時間弱の自宅から通っていた。理由はいろいろあったが

  • 工場隣接の寮じゃ遊びにも行きづらく、会社ベッタリの生活でつまんなそう。
  • 大学時代に付き合っていた彼女がピアニストを目指してウィーンに留学していた。ひょっとして帰ってきてよりを戻せるんじゃないかとかってに期待していた。(結局その娘は現地で結婚して今もウィーンに住んでいるらしい。旦那はウィーンフィルファゴット奏者という情報もその後ネットで知った)
  • 橋本智恵院も名前すら知らないで入った会社だし、採用面接の時に人事の人間が放った言葉’よくこんな未来の無い会社を受けたね’が引っかかっていて、景気が良くなったら転職もありかなと感じていた。

 

現場や調達部門まを走り回ってイジメられていたと書いたが、ある意味可愛がられていたとも思う。特に工作係からはキンシ君と呼ばれていた。(桂きんしに似ていたらしい)また配属先の技術部は良い人が多く、毎月飲み会をしていたほど仲がよかったと思う。仕事はある程度任せてくれたし、直属の上司(壺根主事、荻野谷係長、太門課長)の理解もあり給料は安かったが、それ以上に気持ち良く働かせてもらえた。後はサッカー部に入ったり、同年代や同期の高卒の人間となかよくなったり(大卒同期と1年2年先輩大卒は山王工場にはいなかった)そんな感じで1年が経ち、山王の地と橋本智恵院にどっぷりつかるかと覚悟を決め、2年目から入寮した