嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第5話:自由気ままな寮生活―その1:酒編

寮の部屋飲みの主役サントリーホワイト取手付き瓶


恭作が寮に入って初めにお世話になった先輩は治工具係のフライス職人だった吉打さんだ。この人は週末ロックンローラーでとにかく変わった人だったが気が合った。仕事でこの治工具係からはキンシ君といじられてはいたが、ある意味可愛がられていたのかもしれない。まだチェーン店居酒屋が無い頃だが山王市内のディープな飲み屋によく連れて行ってもらった。彼は週末は都内でバンド活動していて都内の遊びも詳しく、吉原ソープとか、歌舞伎町のライブハウスとかにもたまに連れて行ってもらった。吉原は鶯谷駅からタクシーで行くのだが、ちょっと手前の何とかというスポット(例えば吉原電話局前とか)でタクシーを降りて徒歩で馴染みのソープに入るのだ。数年後、恭作は先輩ぶって寮生2〜3人を連れて吉原に行ったのだが、タクシーでソープ街の中まで入ってしまい、呼び込みのお兄さん達に取り囲まれ身動きでなくなりタクシーから降りて全員でダッシュで逃げたという経験をした。幸い目当ての店になんとかたどり着いたが、‘なるほど!こういう理由で手前でタクシーを降りていたんだ’と改めて吉打さんの遊びの達人さに感心した。

また山王市内では行きつけのスナックも出来、金曜の夜は入り浸っていた。その店はエメラルドといって夫婦でやっていて女の子とかいないのだが、この夫婦とはとても仲良くなり最終的にはバンドまで組んだ。また常連客の中には自営の観光バス会社の社長もいて、その後個人的にさ企画したスキーバスツアーでお世話になった。マスターはギターの天才でカラオケ機器の無いこの時代にマスターの生ギターでカラオケが歌えるのというのが売りだった。バンドでは、恭作もギターは多少弾けたがマスターからベースをやってくれと中古ベースを渡され挑戦したが、以外にすぐ弾ける様になった。フルートの得意な寮の先輩も一緒だったし、橋本智恵院の新入社員の可愛い娘をボーカルにしたりして結構楽しんだ。

その後、自分の部屋が独房みたいな狭い旧館部屋からやや大きな新館部屋に変わり、朝立君の部屋も隣になったりして外飲みより寮飲みが増えていき、寮生も自然と恭作の部屋に集まる様になり、平日は千円会費で毎日恭作の部屋が居酒屋状態になって行った。