嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第41話:Iwisとの協業(その1)

欧州でシステム納入していたジャガーXJ V8


欧州でサイレントチェーンを自動車エンジンに採用したのはおそらく前話で書いたジャガーV8が初めてではないかと思う。橋本知恵院も後で参入したAUDI/VWのEA888の初期発売(バルグワーナー製チェーン)が2008年頃なのでジャガーよりかなり後だ。しかしサイレントチェーンの自動車エンジンへの採用は2000年前に日本で始まりアメリカにも2000年代広まっていったのでその頃欧州各カーメーカーも検討し始めていたはずだ。

ここで誤解のない様に書いておくが、1950年前頃からアメリカではV8OHVエンジンが自動車に使われていて、それらにはP9.525以上のサイレントチェーン(今とで言うとパワードライブチェーン的なもの)も使われていた。(ギヤ駆動や2列ローラ/ブシュチェーン駆動も存在した)この種のサイレントチェーンはややこしいのでこのブログでは除外している。

ローラ(ブシュ)チェーンとサイレントチェーンのどちらを選択するかは一言で言うと’耐久性を重視するか静粛性を重視するか’で音は遮音技術で何とかなるが耐久性はハードルが高い’という考えがローラチェーン派のトヨタ、スバル、マツダGM等で、その逆の考えが日産、ホンダ、FORD等のサイレントチェーン派だ。ちなみに現代自動車は DI(直墳)エンジンはローラ(ブシュ)チェーン、MPI(普通のエンジン)はサイレントチェーン、ディーゼルエンジンはベルトと使い分けている。欧州ではベンツがローラ/ブシュチェーン派(一部サイレント),BMWがブシュチェーン派、VW/ AUDIがベルトとサイレントの使い分け等の様にまだ混沌としている。

欧州のタイミングチェーンの市場ではダントツシェアを誇るiwisだったがサイレントチェーンの技術は無く、世界進出も狙う中この状況にはさすがに危機感を覚えたらしく橋本知恵院に技術提携を申し入れてきた。この協業は少なくとも7~8年くらいは続いたと思うが最終的には別れてしまった。対橋本知恵院窓口のToddyさんや自動車系チェーンの技術課長だったRich似のBさんらとはとても良い関係を築き、Bさんは何とiwis技術提携終了後に橋本知恵院ヨーロッパに転職してきた程だったのにだ。この協業がもし続いていたらタイミングチェーンの世界シェアや橋本知恵院の世界戦略が大幅に変わっていたと思うのだが・・・

そのあたりの話は次話以降で。