嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第58話:祇園接待と舞妓さん芸妓さん

舞妓さんにご機嫌なヤンさんとシエさんと恭作

役員になってから2年に一度、兄弟会社である橋本興業との懇親会で祇園の舞妓さん芸妓さんを呼んで大宴会をするという行事があった。何故2年に一回かと言うと橋本知恵院と橋本興業が一年ずつの周り持ち負担で、舞妓さん芸妓さんを呼ぶととんでも無く経費がかかるので橋本興業負担の年だけそうなるというパターンだ。経費に厳しい橋本知恵院負担の年はせいぜい高級ホテルのフルコース程度だったので舞妓さん芸妓さんに会うのは2年に一度程度だった。

ところが京棚部工場のトップになると接待などで結構頻繁に祇園に出入りする様になった。同じ地位の役員でも埼玉の片田舎にいるのとは大違いだと感じた。外注先からモノを買うにも、代理店にモノを卸すにもそれだけ利権が絡んでいるのかとちょっとビックリした。恭作は営業関係も責任外だし外注先に対しても極めてフェアにやっていたので誰かさんみたいに後でペナルティを食うという事も無かったが、個人的に仲の良い人が増えて利害関係無しでもお付き合いしていただいた。その中でも関西協力会の長老のお二人、前々話でも登場した滋賀さんと西丘さんには色々と遊びに連れて行ってもらった。その中でも少人数で舞妓さん芸妓さんを予約して和食のコースをいただき、2次会でカラオケを楽しむという超贅沢コースには東南アジアのビックリとはまた違った驚きで新鮮だった。(誤解の無い様に書いておくが基本的に舞妓さん芸妓さん遊びに〇〇系は無い)前任者の壱川さんが同行した時は「君でも接待に使って良いんだからか予約や会計の仕方を覚えておきなさい。基本一見さんは予約もできないから」と言われてお茶屋のご主人(要するにけ舞妓さん芸妓さん達を仕切っているマネージャー)を紹介してもらった。会計は後日渡しておいた名刺の会社住所に請求書が送られて来るというシステムだった。その場でお金の話をするのは無粋という意味だろう。

素直な恭作は数ヶ月後には例のヤンさんとそのスタッフのシエさんと山部君を連れて舞妓さん芸妓さんを呼んで接待した。流石に大金持ちのヤンさんも祇園にはコネが無く初めての経験だったみたいで感動してくれた。我々4人に対して舞妓さん1人芸妓さん1人の計2人ついて和食のコースと2次会のカラオケというパターンだった。数週間後請求書が会社に届き、その額にもビックリだったが良い経験だった。2人分の花代(舞妓さん芸妓さんを呼んで時間を拘束した事による料金;この場合5時間×2=10時間分)が我々4人分の飲食代の倍以上だったように記憶している。それでも修行中という身分である舞妓さんには一銭も入らないらしい。