嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第59話:鉄一商事と鉄鋼材料メーカー

日新製鋼呉の高炉と京都NO.1料亭いく田

元々自動車事業部に材料購入担当部署が無く、恭作も動弁機構システム技術が本業だったので鉄鋼材料購入にはあまり関わっていなかった。業務として記憶にあるのは2007〜8年位のリーマンショックの少し前に数年前の様な鉄供給問題が発生し、トヨタの購買から鉄一商事と共に呼び出しをくらった程度だ。ところが京棚部工場に移動になると何と鉄鋼関係業者(商社もメーカーも)との関係が深くて重要かがわかりかなり驚きだった。当時調達課長だった東門君に当初は訳もわからず鉄系メーカーに引きずりまわされたものだ。初めは鉄一商事と日新製鋼神戸製鋼JFEJFE商事がゴッチャになって誰がどこの人かわからなかった。流石にポスコジャパンだけは韓国人なので判りやすかったが。この時に自動車事業部の鉄鋼材料購入に対する軽視を痛感した。当時自動車では係長クラスしかまともに鉄系業者と話していなかったと思う。高炉や圧延工程見学も京棚部に移動になって初めて行った程だ。

そんな中で鉄鋼関係の方々との付き合いも当然増えて、何と酒好きの人が多いことかとれそれにもたまげた。飲み会を重ねる中で誰が何処の会社の人でどういうタイプかだんだん鮮明になっていった。そんな中で最も印象的だった人は鉄一商事の石井さん(この人とは個人的にも仲良くしていただいて、恭作のマンションの至近距離に高級クラブを発見したのもそこの人と飲んだ時だ。その話は後の回で書く予定だ),最も酒と料理が美味かったのはJFE商事が連れて行ってくれた京都岡崎のミシュラン星獲得割烹いく田(十四代、田酒などお気に入りの日本酒持ち込み可で料理も最高だったが残念ながら何年か前に閉店してしまった)、最も凄いゴルフ場は日新が連れて行ってくれたひろの、という具合にだ。酒とゴルフ好きでないとこの仕事難しいなと思い、どちらも好きで良かったなと痛感した。そういう意味でも東門君は適任だった訳だ。またポスコジャパンに連れて行ってもらったミナミのカラオケクラブは何と生オケでキー(音程)まで合わせてくれて生涯最も気持ちの良いカラオケだった。念の為言っておくが接待の内容で便宜をはかったことは一度も無い。

ポスコジャパンと言えば彼らの計らいで韓国工場の高炉等を見学させてもらうという話が来て、その時は橋本韓国の新工場も完成していて恭作自身も見ていなかったので渡りに船とばかり二つ返事でOKした。再三登場する朝立君も橋本韓国社長として現地で合流したのだが、ポスコ材使用量としては京棚部よりも橋本韓国の方が桁違いに大きいのに自動車からのあセッティングでポスコ見学した時より遥かにその時(京棚部セッティング)の待遇の方が良かったそうだ。釜山から1時間以上西に行った所にあるポスコ光陽(カンヤン)工場には最新の高炉と圧延工程があり、ラインも素晴らしかったが我々への待遇が超VIP(釜山からの送り迎えのクルマとか昼食に使用したVIP専用個室とか面談した人が工場長級だったとか)扱いで京棚部と山王との調達課の力量の違いを感じた。

第32話と52話で書いた朝立君の〇〇系のくそ真面目崩壊事件もこの時起きた。最終日の夜、〇〇系大好きなポスコジャパンの担当者が用意周到に仕込んでいたのだ。韓国では(ソウルは知らないが)タイや中国の様な女の子がいるキャバクラカラオケ的なものはあまり見かけず、カラオケ店等に女の子を呼ぶというシステムがメジャーらしい。一次会で普通に食事を楽しみ、同じビルのカラオケルームに移動して二次会を始めるとそこに女の子達がやって来るという感じだった。恭作も15年以上かかってついに韓国デビューとなった。