嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第61話: 月一飲み会

スタッフに背中を押され購入したレクサス

恭作が京棚部に赴任しての一年目は天津工場建設を初め目まぐるしく過ぎて超多忙だったが、2年目になってようやく落ち着いてきた。そこで当時の管理部長神谷君の発案で色々な部署と親睦会をやりましょうという事になった。京棚部赴任になって単身赴任手当や事業部長/工場長になったことにより給料もかなり上がって金銭的に余裕ができたので、参加してくれる人は1000円会費で残りは恭作のポケットマネーへで払うという形でスタートした。参加条件は非幹部職で10人以下とし、これを月一回一年以上続けほぼ全ての課を網羅出来た。これにより従業員との距離はかなり縮まったんじゃないかと自負している。幹部職をシャットアウトしたのでそこそこの本音は聞けたと思うし、前任者による出費締め付けで疲弊していた雰囲気の解消に多少は役になったかもしれない。管理部が気を使ったのか、従業員達が気を使ったのか、いつも京棚部市内の安い居酒屋が会場になり同じ所には行かなかったので当時の市内の大衆居酒屋はほぼ制覇したと思う。

その飲み会で最も印象的だった従業員側からのクレームは恭作が乗っていたクルマに対するモノだった。当時クルマの駐車スペースは工場トップなので1番事務所の入口に近い目立つ所に指定されていたのだが、そこに転勤の一年前に買った3代目プリウスを駐めていた。しかしその横の来客スペースに工場指導アドバイザーのBMW(3シリーズ)がよく停まっていたのをその従業員は悔しいと思っていたそうだ。「なんでアドバイザーがBMWで、我が工場のトップがプリウスなんですか?夢無いっすよね。もっと良いクルマ乗ってくださいよ」というクレームだった。恭作としては発売されてすぐ買った新型プリウスだったので非常に気に入っていたのだが、「そっか。周りから見るともっと高級車買わないと行けないんだ」と妙に納得した。恭作のポリシーとして自社の部品が付いていることは絶対条件だったので、その中でそこそこの価格でカッコ良くて高級感溢れるクルマを検討しレクサスis300hを買う事にした。このクルマは発売から10年以上経っている現在でもフルモデルチェンジしていない珍しいクルマだ。おかげで9年乗った後の売却時、ボディに凹みがあるにも拘らず150万円で下取りしてくれた。背中を押してくれたそのスタッフには感謝している。