嶋恭作の裏45年史

この話はフィクションであり登場人物とエピソードは全て架空のものです

第21話:悲喜交々の北米駐在員生活-1

社有車カプリス



まず赴任に際し、日本人のファーストネームアメリカ人にとって覚えにくいし、発音しにくいので、何かニックネームを付けろと海外事業部の人間から言われた。当時憧れのプロゴルファーだった中嶋常幸アメリカでトミー中嶋で通用していたのでトミーが良いと申し出たら、シカゴの駐在にトム太野というのがいるからダメと言われ、じゃあトニーで良いやと単純に決めた。後で知ったのだがTonyはアンソニーAnthonyの略で、チコピー近辺の有名なストリップ小屋と同じ名前だ。またイタリア系移民に多くつけられているらしく、’イタリア系か?’とか’Tonyって感じでお前に合っている’と良く言われた。前世はイタリア人か?そう言えばイタリア料理は日本料理の次に好きだ。

赴任した途端、これがお前の社有車だと言われて写真のGMシボレーカプリスを渡された。エンジンは5000ccV8OHV,車重2t越え,幅2.2m,長さ5.5mの巨大なセダンだ。そう言えばアメリカ映画に出てくるタクシーやパトカーと同じだ。後で知ったのだが価格は意外にも安く、トヨタカローラより少し高い程度だった。乗りごごちとハンドリングはこれが噂のアメ車かと思わせるフワフワでゆる〜いハンドリングだった。ただFRで低速トルクが凄いので冬で道が凍っていたり雪があったりすると簡単にホイールスピンやドリフトができた。よくボリヨーク工場に出勤して駐車場に入るときにカウンターを当てながらドリフトして入っていって、受付のJENというおばちゃんから‘Bad boy,Tony!’とよく叱られたものだ。主席駐在員以外ほぼ皆このカプリスが渡されていた。(奥さんのクルマは自分で買うが通勤やその他私用も含めて駐在員本人は社有車を使える)後で出てくるが、月一のカラオケ集会(主席駐在員の家に集まる)の時などこの色違いのカプリスが7〜8台家の前に並び、マフィアの集会か?と思わせる光景だった。

また、恭作は日本酒好きだが当時現地で手に入る日本酒は酷かった。多分防腐剤が多量に入っていたのだろう。そこで恭作は自分で日本酒を作る事にして、これがまた美味しかった。現地人も、まずいという日本酒のイメージがこれで一変し’Tony’s SAKE is excellent! We can drink it as much as we want!’ と絶賛された。興味がある方はぜひ作ってみては?簡単です。

https://fermentedfoodrecipe.com/jp/homemade/home-made-sake/

   

-続く-